ベクターグラフィックアプリVectornatorとAmadineの比較
iOSでインストールできる2つのベクターグラフィックアプリの比較です。
ベクターグラッフィックアプリで最も普及しているのはAdobe Illustratorですが、利用料金が高いですね。
そこで無料で利用できるVectornatorと、有料ですが比較的安いAmadineについて、実際に使ってみて比較しました。
どちらもiPhone, iPad, Macで利用できますが、今回の記事では、iOSでの使用を想定しています。
機能の差
私が実際に使ってみて、目立った違いを表にしてみました。
Vectornator | Amadine | |
無料版 | 全機能利用可能 | 保存以外の全機能利用可能 |
有料版 | なし | iPad/iPhone版が$9.99 Mac版が$19.99 (買い切り) |
インポート | ai svg png jpg - sketch figma |
ai svg png jpeg tiff - - |
エクスポート *Macのみ |
ai svg png jpg - - |
- svg png jpeg tiff EPS * |
対応言語 | 11言語(日本語含む) | 英語のみ |
フォーラム | あり | - |
外部データの取り込み | アイコン検索 80,000+(Iconator) ラスター画像検索100万以上(Unsplash) 外部のai, svgデータは初回に1つのみ取り込み可能 |
アイコン検索 数百(Libraries) - 外部のsvgはいくつでも取り込み可能 |
ラスター画像の変換 | Auto Trace機能 | - |
特殊なグリッド | Isometric Grid機能 | - |
色彩 | - | Recolor機能 |
斜めに変形 | - | Shear機能 |
直観的なブーリアン演算 | Fusion機能 |
Vectornatorの概要と感想
無料で利用できるベクターグラフィックソフトウェアです。
https://apps.apple.com/jp/app/vectornator-vector-design/id1219074514
日本語を含む11言語に対応しており、2022年1月で2163件の評価があります。
開発者はドイツのLinearityという法人で、2017年にVectornatorをリリースしています。
今は完全に無料ですが、広告は表示されません。この企業がどのように資金を得ているのかが気になります。
また、下記のとおり将来は有料になるかもしれません。
https://www.vectornator.io/faq#is-vectornator-free
マニュアルやチュートリアルも充実しており、質問ができるフォーラムもあります。
利用できるOSは、iOS, iPadOS, Macです。WindowsやAndroidは開発予定も無いようです。
Adobe Illustratorのファイルフォーマットをインポート・エクスポートできるのがこのアプリの強みです。ただし、aiフォーマットでのエクスポートには、AdobeCCにログインする必要があります。
アイコンを長押しすると、アイコンの名前が表示されるので、操作に迷っても分かりやすいです。
Iconatorというアイコン検索機能があり、インターネットより、SVGのアイコンを検索し、取り込むことができます。検索可能なアイコンの数は、80,000以上ありますので非常に便利な機能です。
Unsplashという画像検索機能は、インターネットより、著作権フリーのラスター画像を検索し、取り込むことができる機能です。公式サイトでは、100万以上の画像を検索できると記載されいますので、別の画像検索ソフトを使う必要がなくなります。
他の特徴的な機能には、ラスター画像をベクター画像に変換するAuto Traceや、Isometric Gridという立体を斜め上から見た図を書くためのグリッド機能があります。
グループ化したオブジェクトをレイヤーパネルで階層表示できないのが、残念な点です。
また塗りつぶしに、画像やパターンが採用できないのも改善してほしいです。フォーラムでも要望があがっていますが、実装されていません。
Amadineの概要と感想
有料のベクターグラフィックアプリです。無料でも利用できますが、保存ができないだけなので、すべての機能を試すことができます。
日本語には対応おらず、英語だけです。2022年1月時点で10件の評価があります。
2022年1月時点の価格は、iPad/iPhone版が$9.99、Mac版が$19.99です。
サブスクリプションではなく、購入時に料金を支払えば、使い続けることができるので、Adobe Illustratorと比べると非常に安い印象です。
開発者は、ウクライナに本社があるBelight Software Ltd. でLive Home 3Dというアプリが主力商品のようです。
Adobe Illustratorの代替になると公式サイトに書き込んでおり、価格の安さと機能を強調しています。
https://amadine.com/useful-articles/adobe-illustrator-alternative
マニュアルは英語しかありませんが、わかりやすく作成されていると思います。チュートリアルも徐々に増えてきています。フォーラムはありません。
OSは、iOS, iPadOS, Macです。Windows とAndroidは対応していません。
インポートは、JPEG, TIFF, PGN, PDF, SVG, AIが可能です。
AIフォーマットは、インポートすると、長方形の画像として表示されますが、Expandすれば、レイヤー内にオブジェクトが分割されます。
SVGは自動的にExpandされます。
エクスポートは、JPEG, TIFF, PNG, EPS, PDF, SVGに対応しています。EPSはiOSに対応しておらずMacのみです。
残念ながらAIフォーマットではエクスポートできません。しかし、EPSフォーマットに対応しています。
Fill機能に「image」を選択できるようになっており、単色や、グラデーションだけでなく、模様で塗りつぶすことができます。
グラデーションツールでは、実際に塗りつぶす箇所にアイコンが表示され、より直観的にグラデーションを調整することができます。
SVGのパーツや、画像を作成途中にいつでも挿入することができます。Vectornatorだと、IconatorからSVG、Unsplashからラスター画像を取り込めますが、それ以外はファイル新規作成時に1度だけしか読み込めません。
特徴的な機能は、色彩を検討するためのRecolor機能、ストロークの幅を部分的に手動で変更できるWidth機能、斜めに変形させるShear機能、手軽にブーリアン演算できるFusion機能、1つのファイル内に複数のシートを作成する機能があります。
まとめ
それぞれのアプリが向いている人や作業は次のとおりです。
Vectornatorが向いている人、向いている作業
- 無料でベクターグラフィックアプリを使いたい。
- Adobe Illustratorのファイル形式で出力したい。
- 無料のアイコンや画像を手軽に利用したい。
- アイソメトリックの図を描きたい。
Amadineが向いている人、向いている作業。
- Adobe Illustratorのサブスクリプションより安いアプリを使いたい。
- SVGをたくさん取り込んだり、自作のSVGを使いまわしたい。
- 細かい変形や複雑な色塗りをしたい。
- 英語のマニュアルでも問題ない。
私は、どちらのアプリも慣れてしまえば使い心地は変わらないと思います。
機能はそれぞれ異なりますので、用途に応じて使い分けるのが一番いいと思います。